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日外会誌. 87(8): 912-915, 1986


原著

腹部大動脈瘤手術と虚血性大腸炎
-とくに側副血行路および術中,下腸間膜動脈断端圧の意義-

宮崎医科大学 第2外科学教室

鬼塚 敏男 , 野田 裕弘 , 前田 隆美 , 石井 潔 , 柴田 紘一郎 , 古賀 保範

(昭和60年11月25日受付)

I.内容要旨
腹部大動脈瘤の術後虚血性大腸炎の発生の要因について,(1) 術前の血管造影からみた回廓動脈の発達の程度,(2 ) 内腸骨動脈の狭窄,閉塞病変の程度,(3 ) 術中の平均下腸間膜動脈断端圧•平均体血圧比の3点から検討を加え,次の点が明らかにされた.
1) 術前に回廓動脈が明らかに認められた症例の術後腹部症状の発生率は低い傾向にあり,大動脈造影の術前検討が必要と考えられた.
2) 術前,下腸間膜動脈が開存し,かつ本動脈の非再建例では術後虚血性大腸炎防止のため術中の平均下腸間膜動脈断端圧•平均体血圧比は少くとも0.5 以上,できれば0.6以上が必要と考えられた.
3) 術後虚血性大腸炎の予知手段として平均下腸間膜動脈断端圧•平均体血圧比は有力な指標になり得ると考えられた.

キーワード
腹部大動脈瘤, 虚血性大腸炎, 下腸間膜動脈断端圧, 回廓動脈


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