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日外会誌. 87(7): 774-780, 1986


原著

胆嚢癌治癒切除例の検討
ーとくに Stage 別にみた予後を中心にー

東北大学 医学部第1外科教室(主任:佐藤寿雄教授)

大内 清昭 , 後藤 浩志 , 岡部 健二 , 松野 正紀

(昭和60年10月22日受付)

I.内容要旨
教室で施行した胆嚢癌の肉眼的治癒切除40例に関して,胆道癌取扱い規約に基づく分類からみた予後を検討した.肉眼的分類別の5生率はStage l(16例)で67%,II(8例)で43%,III(10例)で22%であつた.Stage IV(6例)には術後2年以上の生存例はみられなかつた.Stage Iにはm,pm癌が7例づつ含まれ,5生率は前者で86%,後者で57%と差を認めた.しかし,Stage Iでは予後の良好な乳頭型,papillary adenocarcinoma,脈管・神経侵襲陰性を示すものが大多数を占めている.一方,Stage II以上ではs癌が大多数となり,s癌の3生率は12%であつた.また,Stage II以上では,予後の不良な浸潤・結節型,tubular adenocarcinoma,脈管・神経侵襲陽性を示すものが多くを占め,Stage Iの症例とは予後,癌腫の病態とも大きな違いが認められた.Stage Iで単純胆摘術施行12例中9例で肝側・剝離面に癌浸潤を認めないhw0,ew0となしえたが5生率は57%であつた.一方,胆嚢床部肝楔状切除とリンパ節郭清を行う拡大胆摘術施行例は全例が生存中であり,Stage Iでは拡大胆摘術の適応とすべきである.しかし,Stage II以上では拡大胆摘術によつてもhw0,ew0となしえない症例も多く,その5生率は33%と不良であつた.Stage II以上では拡大胆摘術では不十分であり,さらに拡大した術式の選択および集学的治療法が必要である.

キーワード
胆嚢癌, 胆道癌取扱い規約, 拡大胆摘術


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