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日外会誌. 87(7): 754-758, 1986


原著

腸回転異常を合併した肝内結石症例

熊本大学 医学部第2外科

広田 昌彦 , 守 且孝 , 池井 聰 , 井手上 邦雄 , 酒本 喜与志 , 片渕 茂 , 赤木 正信

(昭和60年5月2日受付)

I.内容要旨
我々は,腸回転異常を合併した肝内結石症の一例を経験した.
肝内胆管の性状を検索すると,嚢状拡張とその遠位側の狭窄,胆道付属腺増生に伴うmucopolysaccharideの分泌亢進,胆管周囲の層状,帯状線維化,胆管上皮の脱落によるcellular debrisの形成を認め,また,胆管内腔において,脱落した上皮,粘液(mucopolysaccharide)および胆汁が混在し,あたかも結石の前段階と考えられるような像を呈する部分が存在した.
肝内結石症と腸回転異常との関連性について考察すると,肝内胆管の形成時期と腸回転の時期が一致すること,先天性総胆管拡張症,先天性胆道閉鎖症などの先天性胆道奇形において腸回転異常の合併が多いことなどより,胎生期(第5~6週)に生じた何らかのdevelopmental anomalyとしての関連性も示唆された.

キーワード
肝内結石症, 腸回転異常, 肝内胆管形成異常, 胆道付属腺


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