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日外会誌. 87(6): 654-658, 1986


原著

Scintiphotosplenovenography(SSV)による遠位脾腎静脈吻合部開存の確認

埼玉医科大学 第1外科
*) 埼玉医科大学 放射線科

鋤柄 稔 , 駒崎 敏郎 , 尾本 良三 , 宮前 達也*)

(昭和60年9月7日受付)

I.内容要旨
少量の99mTcO4-を脾内に注入後,得られる脾静脈のradionucleide (RI)画像(Scintiphotos plenovenography:SSV)によつて遠位脾腎静脈吻合(distal splenorenal shunt:DSRS)後の開存の有無をみた.
症例は7例で,左側腹部より超音波ガイド下に脾実質が22gauge針で穿刺された.0.5ml(10mci) の99mTcO4-液を脾内に注入した後,アイソトープの流れをシンチカメラで追跡した.7例中6例は検査時に食道静脈瘤の退縮をみていたが,これら6例では99mTcO4-注入後8秒以内に,脾静脈,左腎静脈,下大静脈および心臓が連続的に描写され,吻合部の開存が確認された.このうち1例では脾静脈から吻合部を通つて左腎静脈に流出する99mTcO4-はわずかで,大部分は脾内にとどまつた後,1分後より肋間静脈から半奇静脈に流出した.検査時に食道静脈瘤の再発がみられた1例では,脾静脈は全く描写されず,主として食道の近くを通ると思われる側副血行路が描写された.
検査は全て外来にて施行され,穿刺に伴なう苦痛は軽度で,患者は1時間後に帰宅したが特に問題はなかつた.
SSVはDSRS後の吻合部開存の確認に有用で,かつ確実な方法であると思われた.

キーワード
遠位脾腎静脈吻合, 脾穿刺, Scintiphotosplenovenography

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