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日外会誌. 87(4): 464-469, 1986


症例報告

低形成左鎖骨下動脈起始異常による先天性 Subclavian Steal Syndrome の 1 治験例と文献的考察

山梨医科大学 第2外科

吉井 新平 , 大島 哲 , 秋元 滋夫 , 橋本 良一 , 神谷 喜八郎 , 松川 哲之助 , 上野 明

I.内容要旨
比較的まれな先天性Subclavian Steal Syndromeの1症例を経験した.眼前暗黒発作と頭重感を主訴とする53歳の男性,右側大動脈弓に伴う低形成左鎖骨下動脈動脈起始異常例で,左鎖骨下動脈は椎骨動脈より逆行性に血流をうけており,Victorica Type IIと診断した.鎖骨上よりアプローチし,左総頚動脈と左鎖骨下一椎骨動脈を直接側・端吻合を行い,血流方向を正常化せしめた.しかしなお術後愁訴が残存し,病態解釈の面で若干の問題点を有している.これまでの報告例をもとに,本症例および先天性Subclavian Steal Syndromeの問題点につき,考察した.

キーワード
先天性 Subclavian Steal Syndrome, 右側大動脈弓, 頚動脈―鎖骨下動脈吻合術

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