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書誌情報]
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日外会誌. 87(3): 273-277, 1986
原著
凍結手術における領域リンパ節の反応
-実験的研究-
I.内容要旨5週齢SD系ラット大腿部皮下にMRMT-1腫瘍を移植後7日目に,経皮的圧抵法にて-170℃2回凍結融解を行い免疫担当臓器重量,腰部リンパ節の病理組織学的所見,腰部リンパ節と末梢血リンパ球のPHA幼若化能および移植抵抗性試験を凍結手術後1,3,6,10および17週目に亘つて検索し,以下の結果を得た.
(1)凍結手術後胸腺重量は術後3週目まで漸減し,脾重量は1週目まで漸増後6週目でそれぞれ術前値まで回復した.(2)腰部リンパ節の病理組織学的所見ではparacortical hyperplasiaは1週目ですでに有意に増加し,sinus histiocytosisは3週目以降に増加しその後10週目まで共に高値を維持したが,germinal center hyperplasiaは3週目に最高となり以降若干低下した.(3)腰部リンパ節リンパ球のPHA幼若化能は1週目で有意に増加し,以降10週目までこの値を維持した.(4)末梢血リンパ球のPHA幼若化能は3週目で最も低く,6週目で有意に増加した.(5)移植抵抗性は術後3週目で最も低く,10週目で最も高かつた.
以上の結果,凍結手術後誘導される抗腫瘍活性は術後3週目に最も低く,6週以降に増強したが,領域リンパ節では術後1週目から10週目に亘つて,強いhelper Tを含むT細胞活性増強がみられた.
キーワード
凍結免疫, 領域リンパ節の反応, ラット実験腫瘍
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