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日外会誌. 87(2): 231-235, 1986


症例報告

先天性骨盤腔内動静脈奇形の 1 治験例

日本医科大学 第2外科

松山 謙 , 原田 厚 , 児玉 行弘 , 冨士崎 隆 , 松島 伸治 , 山手 昇 , 庄司 佑

(昭和60年4月8日受付)

I.内容要旨
先天性骨盤腔内動静脈奇形の1例を経験した.44歳男性.主訴は右鼡径部不快感,痔出血である.既往に外傷,手術歴はない.直腸指診にて緊満性の拍動性腫瘤を触知し,聴診上右下腹部に血管性雑音を認めた.CTでは小骨盤腔内の膀胱右外側にヒョウタン型の均一な濃度の腫瘤を証明した.DSA により右内腸骨動脈領域の動静脈奇形(AVM)と確認し,選択的血管造影ではこのAVMは下膀胱動脈.中下直腸動脈を主流入動脈とし,両側内腸骨静脈を流出血管として静脈側が瘤状に拡張していることがわかつた.
血管塞栓術も考えられたが,比較的限局型であるので手術的治療を選択し施行した.術中輸血量は 3,600mlと多かつたがAVMはほぼ完全に切除し得た.術後血管造影ではAVMは消失していた.
骨盤部AVMは稀な疾患であるがそのほとんどは子宮や付属器のものであり,先天性男性例の報告はさらに稀である.文献によれば術後再発が多いので長期経過観察が必要と考えられる.

キーワード
骨盤内動静脈奇形

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