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日外会誌. 87(2): 206-210, 1986


原著

肝硬変性門脈圧亢進症及び肝細胞癌合併例における肝障害度の評価と手術適応

愛知医科大学 第1外科

竹重 言人 , 山本 貞博 , 小島 洋彦 , 荒川 敏之 , 黒田 博文 , 河合 庸仁 , 深谷 良孝

(昭和60年5月13日受付)

I.内容要旨
肝硬変症の治療の進歩とともに食道静脈瘤の手術に際し,高度肝障害例,及び肝細胞癌合併例の頻度が増加している.それに伴い手術適応基準における限界領域症例も増加し,手術侵襲軽減,術後管理の改善によつて,手術適応枠の拡大の必要性が生じている.
在来の適応基準Wedged Hepatic Vein Pressure(WHVP)300mmH2O以下,ICG R1530%以下,K0.06以上,Rmax 0.5以上,Hepaplastin test(HPT)50%以上について過去1年間37例中12例の限界領域症例を対象としてEEAを使い侵襲の削減を計りEEA胃上部切除術を施行した.その成績を術後合併症を中心に総合評価すると,WHVP 400mmH2O以下(300以下),ICG K 0.04以上(0.06 以上),Rmax 0.3以上(残存肝0.4以上),HPT 40%以上(50%以上)を安全域として,適応拡大を可能とする結果を得た.なお,食道静脈瘤合併肝癌症例のEEA胃上切+肝切除の適応は( )に示した.又肝切除に際し,術中肝生検で変性壊死(+)以下,再生(++)以上が切除可否決定の重要所見である.

キーワード
肝硬変性門脈圧亢進症, 食道静脈瘤合併肝癌, 手術適応基準

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