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日外会誌. 87(2): 154-161, 1986
原著
Clonogenic assay の外科臨床的研究
-治癒,非治癒手術における術後補助化学療法との関連について-
I.内容要旨臨床手術材料を用いてin vitro制癌剤感受性試験であるclonogenic assayをおこない,治癒・非治癒手術における術後補助化学療法との関連について検討を加えた.
対象症例は胃癌47例,結腸癌24例,肺癌12例を中心とした100例である.clonogenic assayはSalmon らの方法に準じておこない,mitomycin C(MMC)は1μg/ml 1時間接触,5-fluorouracil(5-FU)は 1μg/mlの持続接触とし,50%以上のコロニー抑制がみられた場合をin vitro感受性ありと判定した.臨床における抗腫瘍効果の判定は,非治癒手術例では固型がん化学療法直接効果判定基準により,治癒手術例では術後の生存期間によりおこなつた.
clonogenic assayの判定可能率は52%であり,cloning efficiency rate(C. E.)の平均は0.1%であつた.MMCのin vitroの有効率は全体で21.3%であり,5-FUのそれは31.8%であつた.発生母臓器 による判定可能率,C. E.薬剤感受性の推計学的な相違は認められなかつた.また組織学的分化度,Stage,前治療の有無,C. E.は腫瘍の薬剤感受性に影響を与えなかつた.
非治癒手術例31例中19例が臨床効果との対比が可能であり,true positive rateは40% (2/5)true negative rateは100%(14/14),全体の予測率は84.2%(16/19)であつた.
治癒手術において用いられた補助化学療法がclonogenic assayによつて無効と判定された症例で は,14例中3例に再発がみられ,そのうち2例が1年以内に再発死亡した.適応制癌剤が用いられた群では,7例中1例に脳転移再発がみられたが全例生存中である.
本アッセイは再発進行癌症例に対する適応制癌剤の選択のみならず,術後補助化学療法への応用にも有用であることが示唆された.
キーワード
clonogenic assay, 術後補助化学療法, 制癌剤感受性試験
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