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日外会誌. 87(2): 141-153, 1986


原著

Autoradiography を用いたヌードマウス移植ヒトがんの制がん剤感受性試験に関する研究

広島大学原爆放射能医学研究所 臨床第2(外科)部門(指導:服部孝雄教授)

西廻 和春

(昭和60年4月30日受付)

I.内容要旨
In vivoの制がん剤感受性試験として,ヒト腫瘍移植ヌードマウスに制がん剤を投与したのち,3H-thymidine を用いてautoradiographyを行い腫瘍細胞のlabeling indexを測定し,その抑制率から感受性を判定する方法を試みた.基礎的実験ではlabeling indexの経時的検討から,制がん剤の投与時期は移植後3日目以降,感受性の判定時期は5-Fluorouracilを除いて制がん剤の投与後5日目が適当と考えられた.
制がん剤感受性試験の対象症例は,胃がん62例,大腸がん23例,食道がん11例,乳がん8例,その他のがん20例の124例であり,制がん剤はMitomycin C(MMC),5-Fluorouracil(5-FU)および Cyclophosphamide(CPM)の3剤を用いて行つた.
各制がん剤に対するautoradiographyを用いた感受性は,MMCは65.5%,5-FUは34.9%,CPMは 51.8%が陽性を示し,従来から行つている組織学的判定法に比べ高い陽性率を示した.
また両法の成績を比較すると,組織学的判定法により感受性を示した症例はMMC,CPMについては本法においてもすべて感受性を示したが,5-FUについては50%の一致にとどまつた.
臨床応用として,脂肪肉腫の症例に対して本法により感受性を認めたACNUを用いて治療を行つたところ,原発巣・転移巣とも明らかな縮小を認め,本法が臨床に応用できる有用な感受性試験となり得ることが示された.

キーワード
制がん剤感受性試験, 3H-thymidine, autoradiography

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