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日外会誌. 87(1): 118-123, 1986


症例報告

肝部下大静脈閉塞症に対する下大静脈-右心房バイパス術の 1 症例
-とくに肝尾状葉後面経路法について-

兵庫医科大学 胸部外科

青木 啓一 , 宮本 巍 , 八百 英樹 , 村田 紘崇 , 岡 良積 , 前田 信証 , 山下 克彦

(昭和60年3月27日受付)

I.内容要旨
Budd-Chiari症候群を伴う肝部下大静脈閉塞症例に対し,肝尾状葉後面経路法による下大静脈一右心房バイパス術を施行し,良好な結果がえられたので報告する.
症例は32歳女性,約6cm長の非膜様閉塞症で術前の副肝静脈造影で肝内の発達した側副血行路を認めた.人工血管は,径16mmのExpanded Polytetrafluoroethyleneリング・グラフト全長21cmを使用した.
本術式は,侵襲も少なく,安全で,使用する人工血管の長さも短く,かつ狭窄,屈曲をきたしにくいなど有用な面が多いと考えられる.

キーワード
肝部下大静脈閉塞症, Budd-Chiari 症候群, 下大静脈ー右心房バイパス術


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