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日外会誌. 87(1): 105-110, 1986


症例報告

膵頭部多形細胞癌の 1 切除例

*) 名古屋大学 医学部第1外科
**) 国立療養所中部病院 外科

神谷 順一*) , 二村 雄次*) , 早川 直和*) , 塩野谷 恵彦*) , 榊原 正典**) , 秋山 三郎**)

(昭和60年2月18日受付)

I.内容要旨
症例は背部痛と進行性の黄疸を主訴とした41歳の男性である.画像診断で,膵頭部に長径5cmの限局性腫瘍を指摘された.なお,腫瘍は血管造影上hypervascularであつた.
膵全摘術を施行したところ,腫瘍は膵外腫瘤形成型であり,50×45mmの大きさであつた.病理組織学的には,腫瘍は大部分が肉腫様増殖を示す単核あるいは多核の腫瘍巨細胞からなつていた.患者は術後6カ月で肝転移と腹膜播種で死亡した.
膵多形細胞癌の病理組織学的な特徴はよく知られているが,切除例が少ないため臨床上不明な点が多い.本例は病理組織学的には典型的な多形細胞癌であり,限局性でhypervascularな腫瘍という本例の臨床像は,多形細胞癌に特徴的なものであると思われる.

キーワード
膵頭部多形細胞癌, 膵外腫瘤形成型膵癌


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