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書誌情報]
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日外会誌. 87(1): 3-9, 1986
原著
Interleukin 2 誘導リンパ球の細胞障害活性とそれに及ぼす血清中免疫抑制因子の影響
I.内容要旨健康人末梢血リンパ球(PBL)を用いて,IL2培養による腫瘍特異的キラー細胞誘導の可能性について検討した.さらに,IL2誘導リンパ球(IIL)の持つ細胞障害活性に対する血清中免疫抑制因子の影響も調べた.
PBLを,MMC処理MKN-28(胃の高分化型腺癌由来株化細胞)で前感作培養した後,IL2で培養して得られたリンパ球(IIL
M)は,MKN-28に対する細胞障害活性のみが有意に増強された.一方,PBLをPHAを付加下に前培養したり,IL2のみで培養した場合には,各種株化腫瘍細胞に対する細胞障害活性は増強されたが,IIL
MのMKN-28に対する細胞障害活性ほどの強い増強はみられなかつた.また,IILL
Mの細胞障害活性は,IAP,フェリチン,AFPによつて抑制は受けるものの,抑制率は,PBLのそれに比べて有意に小さかつた.さらに,IILL
MのMKN-28に対する細胞障害活性を測定する際に,胃の高分化型腺癌患者血清を培地に添加すると,細胞障害活性は有意に抑制された.しかし,IILL
Mの場合の抑制率は,PBLの場合のそれに比べて有意に小さかつた.また,IILL
Mの細胞障害活性は,低分化型腺癌患者血清,印環細胞癌患者血清によつて抑制は受けるものの,高分化型腺癌患者血清による抑制率に比べると,有意に小さかつた.そして,MMC処理MKN-28での前感作培養時に,胃の高分化型腺癌患者血清を添加し,IL2で培養すると,MKN-28に対する細胞障害活性は,非添加時に比べ有意に低かつた.しかし,低分化型腺癌患者血清,印環細胞癌患者血清を添加した場合には,非添加時とほぼ同程度の細胞障害活性を示した.
キーワード
Interleukin 2, 細胞障害活性, 血清中免疫抑制因子
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