[書誌情報] [全文PDF] (3803KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 86(12): 1600-1607, 1985


原著

Interleukin-2による胃癌組織浸潤リンパ球の cytotoxicity の増強

岡山大学 第1外科学教室(主任:折田薫三教授)

後藤 精俊

(昭和60年2月5日受付)

I.内容要旨
胃癌組織浸潤リンパ球(TIL)の微弱なcytotoxicityを増強し抗腫瘍能を高めることを目的として,進行胃癌を対象にTILをin vitroでIL-2を添加培養してcytotoxicityに及ぼす影響を検討した.また免疫賦活剤(OK432, PSK)を内視鏡下に胃癌局所に注入しTILに与える効果についても検討した.
IL-2の添加培養によりTILの低いcytotoxicityは増強された.ことに胃癌培養株であるMKN28に対するcytotoxicityの増強効果は末梢血リンパ球よりもTILで顕著であった. IL-2の添加培養によりTILのリンパ球サブセットはOKT8,Leu7陽性細胞の比率が増加した.胃癌腹水リンパ球もIL-2の添加培養によりcytotoxicityが増強し,自家癌細胞障害性も誘導された.胃癌腹水リンパ球のサブセットも同様にOKT8,Leu7陽性細胞の比率が増加した. OK432,PSKの胃癌局所投与によりMKN28に対して高いcytotoxicityを持つたTILの症例が出現した. TILのリンパ球サブセットについてみると, OK432の局所投与群ではOKT8,Leu7陽性細胞の比率が増加したが, PSKの局所投与群では対照群と有意差は無かった.

キーワード
胃癌, 腫瘍組織浸潤リンパ球(TIL), インターロイキン2(IL-2), OK432, PSK


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。