[書誌情報] [全文PDF] (2898KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 86(12): 1584-1589, 1985


原著

LD100E. coli注入犬における血中消化管グルカゴンの研究

*) Department of Surgery, University of Oklahoma 
**) 札幌医科大学 第1外科教室

石田 君子*)**) , Lerner B. Hinshaw*) , 戸塚 守夫**) , 早坂 滉**)

(昭和60年2月9日受付)

I.内容要旨
我々は血中消化管グルカゴン濃度の測定が進行した敗血症の状態を知るのに有用であること,またその濃度が治療効果と相関する可能性を仮定し,18頭の成犬を以下の3群に分け実験を行なった.Group I:LD100 E. coli;Group II:LD100 E. coli + tobramycin (TOB);Group III:LD100 E. coli + TOB+methylprednisolone sodium succinate (MPSS).E. coliは経静脈的に1時間かけて注入した.各犬は6時間実験室にて監視し,その後7日間回復室にて観察した.血漿膵グルカゴンと消化管グルカゴン濃度はRIAにて測定した.各Groupの生存率はGroup I:0%,Group II:17%,Group III:83%であつた.E. coli注入後,ステロイド注入終了時,3時間,6時間目の消化管グルカゴン濃度はGroup Iで3,417pg/ml,Group IIで5,167pg/ml,Group IIIで1,081pg/mlであつた.膵および消化管グルカゴン濃度はGroup IIIにおいてE. coli注入開始後7日目に再び前値にもどつた.LD100 E. coli注入犬にすべて高グルカゴン血症が認められた.E. coli注入後,血中消化管グルカゴンの変化は膵グルカゴンの変化よりも大きかつた.消化管グルカゴン濃度は進行するE. coli注入ショックと相関し,またその濃度はMPSS/TOBの効果と密接な関係にあつた.消化管グルカゴン濃度における急激な減少は敗血症の生存率と相関した.以上より血中の消化管グルカゴン濃度は重症敗血症の診断,治療の効果判定に役立つ可能性が示唆された.

キーワード
LD100 E. coli 注入犬, 消化管グルカゴン, 膵グルカゴン, 高グルカゴン血症

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。