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日外会誌. 86(10): 1417-1425, 1985


原著

胃癌症例における術前NK活性測定の意義と術後NK活性低下に対する非特異的免疫賦活剤術前・後投与の効果について

岐阜大学 医学部第2外科
*) 岐阜市民病院 外科

大下 裕夫 , 佐治 董豊 , 杉山 保幸 , 種村 廣巳 , 坂田 一記 , 田中 千凱*) , 伊藤 隆夫*)

(昭和59年12月24日受付)

I.内容要旨
胃癌術前症例におけるNK活性の免疫パラメーターとしての意義と,胃癌手術の侵襲度合をNK活性の術後変動により評価し,免疫賦活剤術前・後投与の効果の有無について検討した.NK活性の測定は,患者末梢血中の全単核球をeffector細胞,K562をtarget細胞とし,マイクロプレート法による51Cr放出試験にて行つた.
結果;胃癌患者のNK活性は,健康対照者に比べて有意の低下を示し,進行程度別でもstage I,IVで有意な低下が認められた.肝や腹膜転移陽性例では,同転移陰性例に比べてNK活性の有意な低下が観察された.手術根治度との関係では,非切除例や非治癒切除例のNK活性は,治癒切除例に比べて有意な低下を示した.また,胃癌組織分類との関係では,stage IV症例において,porはtub1に比べて有意な低値を示した.NK活性とFcR(+)T細胞比率との間には,stage I+II症例に限つて正相関関係が認められた.また,NK活性と血清α2-グロブリン分画比との間には,負相関関係がみられ,stage III+IV症例ほどこの関係が高度であった.
stage III+IV症例でOK-432術後投与群は,術後1~4週にわたつてNK活性の有意な低下ないしその傾向を示したが,術前後投与群ではNK活性の術後低下はみられなかった.この所見は,血清アルブミン値3.5g/dl未満や長時間手術例で著明であつた.

キーワード
胃癌, NK活性, 非特異的免疫賦活剤


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