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日外会誌. 86(7): 802-807, 1985


原著

肝諸病態下における細網内皮系動態の解析
-stage分類の試みとその意義-

京都大学 第1外科(主任:戸部隆吉)

柴垣 昌史

(昭和59年8月20日受付)

I.内容要旨
70%及び40%肝切除ラットを用いて,細網内皮系貪食機能の変動を51Cr labelled LPS静注後の,1)血漿消失率による貪食率,2)肝,脾,肺の摂取率,3)培養肝網内系細胞を用いたbioassayによるopsonin活性の測定により解析した.肝切除後における細網内皮系機能はその再生過程に応じて異つた反応を示し,その反応動態から次の3 stageに分類された.
(I)critical stage:opsonin活性に関係なく貪食率自体が低下した時期で,70%肝切除直後から1日目までに相当した.
(II)compensating stage:opsonin活性が亢進し,貪食率は正常に維 持された時期で,70%肝切除2日目に相当した.
(III)enhanced stage:opsonin活性,貪食率が共に上昇した時期で,70%肝切除3日目以降3週目まで,及び40%肝切除2日目以降5日目までに相当した.
この様なstage分類は肝障害の一例としてC CI4投与による肝硬変形成過程にも適用出来,肝障害の進行につれてenhanced stage→compensating stage→critical stageへと変化した.即ち肝切除と肝硬変の各々の病態の発生機序は相異するにもかかわらず,網内系機能の発現形態は肝に対する侵襲の軽微な時は亢進し,侵襲が大きくなるにつれて低下するという経過を示した.

キーワード
細網内皮系, 培養肝網内系細胞, 51Cr labelled LPS, opsonin活性, 貪食率

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