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日外会誌. 86(5): 534-543, 1985


原著

食道癌切除例のリンパ節転移
-転移率と生存率のScoring法による群分類の検討-

慶応義塾大学 医学部外科
*) 現 産業医科大学 第2外科
**) 現 久留米大学 医学部第1外科

藤田 博正*) , 掛川 暉夫**) , 安藤 暢敏 , 川原 英之*) , 阿部 令彦

(昭和59年6月1日受付)

I.内容要旨
食道癌切除例234例を対象とし,食道癌取扱い規約で命名された各リンパ節部位毎の転移率と同部に転移があった症例の生存率を検討した.そして,その両者を組合せたscoring法により,各リンパ節部位の臨床的重要度を評価し,新しいリンパ節群分類を試みた.
転移率が高く,しかも同部に転移があつても長期生存例が多い場合に,これらのリンパ節を第1群リンパ節とし,転移率が高いが,長期生存例が少いもの,あるいは転移率は低いが,長期生存例の多い場合に,これらのリンパ節を第2群リンパ節とし,転移率が低く,しかも,同部に転移があれば長期生存例のない場合に,これらのリンパ節を第3群リンパ節とした.
その結果は次のとおりである.Ce例ではNo.104が1群,No.100,No.101,No.102,No.103が2群,その他のリンパ節が3群に分類された.
Iu例では1群リンパ節がなく,No.105,No.106が2群,その他は3群であった.
Im例ではNo.108,No.1が1群,No.104,No.105,No.106,No.109,No.110,No.2,No.7が2群,その他のリンパ節は3群となつた.
Ei例ではNo.1,No.7が1群,No.101,No.105,No.106,No.108,No.110,No.2,No.3,No.8,No.9が2群,その他のリンパ節は3群であつた.
Ea例ではNo.1,No.2が1群,No.3,No.7が2群,その他は3群に分類された.
この群分類によつて累積生存率を計算すると,n0の3生率36%,5生率27%,n1の3生率21%,5生率15%,n2の3生率11%,5生率5%,n3は1年生存例がなく,よく予後を反映していた.

キーワード
食道癌のリンパ節転移, 食道癌の遠隔治療成績, 食道癌のリンパ節群分類


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