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日外会誌. 86(4): 394-399, 1985


原著

外科侵襲下における whole body protein turnover(第 1 報)

千葉大学 医学部第1外科学教室

田代 亜彦 , 山森 秀夫 , 真島 吉也 , 千見寺 徹 , 林田 和也 , 堀部 和夫 , 奥井 勝二

(昭和59年6月13日受付)

I.内容要旨
外科侵襲下の窒素喪失の機序を蛋白代謝の動態から理解するため,外科患者にPicou&Taylor-Robertsの方法に準じ〔15N〕glycineのconstant infusion法を用い,尿中総窒素をend productとしてwhole body protein turnoverの測定を行なつた.中等度~高度侵襲の腹部外科患者6名の術後第3及び第10病日に,また対照患者6名は非侵襲下で測定を施行した.検索対象患者は全て絶食下TPN管理し,測定時のアミノ酸及びカロリー投与量は全例等量とした.Whole body protein flux rateは侵襲下では4.31±0.39(g. protein/kg.day, M.±SE,以下同)で対照値3.22±0.11より有意に亢進し(p<0.05)回復と共に減少した.蛋白崩壊も侵襲下で3.12±0.39と対照値1.87±0.10より顕著に亢進していたが(p<0.02),蛋白合成は第3病日で2.62±0.38で対照値2.28±0.09と有意差なく,また第10病日で2.45±0.30で侵襲から回復により一定の変動を見なかつた.
以上より,外科手術後の窒素喪失の増加は蛋白合成の変化よりも体蛋白の崩壊の亢進が主役を演じていると思われた.

キーワード
whole body protein turnover(flux), synthesis and breakdown, 外科侵襲, 〔15N〕glycine constant infusion 法

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