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日外会誌. 86(3): 251-257, 1985


原著

各種外科的悪性腫瘍症例における特異的細胞障害活性と非特異的免疫パラメーターおよび臨床経過との関係

岐阜大学 医学部第2外科(主任:坂田一記教授)
*) 岐阜市民病院 外科

山本 悟 , 佐治 董豊 , 杉山 保幸 , 木田 恒 , 梅本 敬夫 , 宮 喜一 , 大下 裕夫 , 横山 幸夫 , 竹腰 知治 , 坂田 一記 , 伊藤 隆夫*) , 田中 千凱*)

(昭和59年4月11日受付)

I.内容要旨
各種外科的悪性腫瘍105例で,切除組織または胸腹水中より採取した癌細胞を組織培養して46例において初代培養に成功した.この内27例において都合40回,当該患者末梢血リンパ球との間でmixed lymphocyte-tumor cell cultureを行い,腫瘍特異的細胞障害活性をTakasugi-Klein法で検索した.また,同時期の臨床経過,非特異的免疫パラメーター及び免疫療法の効果等とも比較検討した.
40回(以下「例」と呼ぶ)の検索中,60%以上の障害活性を示す陽性例は14例(35%),その内訳は消化器癌25例中8例(stage IVは21例中6例),非消化器癌15例中6例(全例血清総蛋白6.5g/dl以上)であつた.
臨床経過評価判定基準に従つて3群に分け検討すると,症状改善群(8例)は増悪群(15例)に比し有意に高い障害活性を示し,逆に活性陽性群は陰性群に比べ有意に症状改善がみられた.
障害活性とT細胞比との間に有意の正相関がみられたが,IgG-FcR(+)T細胞比とPHAリンパ球幼若化能との間には相関関係はなく,また,臨床経過とこれら非特異的パラメーターとの間にも関連性はみられなかつた.
治療法別では,活性陽性例はOK-432単独投与群に多く(6/11),症状改善例はPSKとOK-432併用群に多かつた(4/14).
また,障害活性陽性例中3例では症状増悪がみられ,5例は症状不変であり,かかる症例に何らかの治療が加味されるならば,より良好な治療効果が期待できる可能性が示唆された.

キーワード
特異的細胞障害活性, 非特異的免疫パラメーター, 外科的悪性腫瘍, 免疫化学療法, mixed lymphocyte-tumor cell culture(MLTC)


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