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日外会誌. 86(2): 209-215, 1985


原著

新しい膵ランゲルハンス氏島分離方法の開発

東北大学 第1外科(主任:佐藤寿雄教授)

洞口 篤 , 柿崎 健二 , 前田 正光 , 山内 英生

(昭和59年4月5日受付)

I.内容要旨
ラ氏島回収率の向上を目的とした新しいラ氏島回収方法を考案し,イヌ膵を用いて,ラ氏島回収率,purityおよび膵全摘後ラ島自家移植成績の検討を行つた.collagenaseを膵管内に逆行性に灌流することにより,選択的に腺房細胞の消化を行おうとするものである.膵管内灌流によりintralobularspaceに間隙を作ることができ,ラ氏島が外分泌組織より分離されていく様子が観察された.組織インスリン量からみたラ氏島回収率は57%と高く,これに対し外分泌組織の混入は少なく,組織インスリン・アミラーゼ比からみたラ氏島のpurityは分離前膵組織の6倍に上昇した.こうして得られた細胞浮遊液を膵全摘後に自家移植を行い,門脈内移植した5頭中3頭,脾内移植した3頭全例で術後正常血糖が得られた.
また膵管灌流法により得られた細胞浮遊液をtrypsin処理すると,細胞容積はさらに減少し,purityも上昇した.脾内自家移植により5頭中4頭で正常血糖を示したが,糖負荷時に脾臓より分泌されるインスリン量は370mUと正常膵よりの分泌インスリン量の約50%であつた.

キーワード
Langerhans 島分離法, Langerhans 島回収率, 膵 Langerhans 島自家移植, コラゲナーゼ膵管灌流法


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