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日外会誌. 85(12): 1579-1585, 1984


原著

種属交叉性神経芽腫特異抗原を認識するヒトキラーT細胞

千葉大学 小児科外科

江東 孝夫 , 高橋 英世 , 大沼 直躬 , 栗山 裕

(昭和59年4月19日受付)

I.内容要旨
神経芽腫を主とした,小児悪性固形腫瘍患児の末梢血を採取,in vitroにおいて,神経芽腫特異抗原を認識するヒトキラーT細胞の性状を, 51Cr release assayによる細胞傷害試験により検討した.
その結果,術後の神経芽腫患児から,全例抗原特異的な神経芽腫細胞に対する傷害活性を有するキラーT細胞が誘導された.
しかも, これら患児キラーT細胞のあるものは,マウス由来株化神経芽腫に対しても,特異的細胞傷害活性を示し,神経芽腫特異抗原には,種属交叉性を示す,抗原決定基が存在することが判明した.
しかし,術前の担癌,治療中の患児,および,他の腫瘍の患児からは,キラーT細胞の誘導はされず,これら患児でのサプレッサーT細胞の優位性が示唆された.
また, StageIV-S神経芽腫患児では,常に担癌状態にもかかわらず,術前,術後ともに高いキラーT細胞の発現がみられ, StageIV-Sでは,他のStageと異なったimmunological surveillanceが関与していることが示唆された.

キーワード
神経芽腫, 細胞傷害試験, キラーT 細胞

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