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日外会誌. 85(11): 1387-1392, 1984


原著

OK-432に対する Delayed Hypersensitivity と抗腫瘍効果
第1報 マウスにおける OK-432に対する Delayed Hypersensitivity の誘導とその測定

1) 大阪大学 医学部第2外科教室(主任:森 武貞)
2) 東京都立駒込病院 外科

穀内 勇夫1) , 森 武貞1) , 弥生 恵司1) , 神前 五郎2)

(昭和58年11月5日受付)

I.内容要旨
OK-432の腫瘍内投与による抗腫瘍効果が,OK-432に対するdelayed hypersensitivity (DH)により増強されるか否かを検討することを目的として,まず,BALB/CマウスをOK-432で感作してDHを誘導し,その測定を試みた.BALB/CマウスをOK-432 2KEとFreund's incomplete adjuvantのエマルジョンで感作後,腹腔滲出細胞(PEC)を採取して直接法によるマクロファージ遊走阻止試験(MIT)をおこなった.テスト抗原としてOK-432菌体そのもの,および菌体成分であるSu-M protein,Su-LipopoIysaccharideのいずれが適当であるかを検討した結果,Su-M protein 100μg/mlがOK-432に対するDHを定量的に測定するのに最も適していることがわかった.そこで,OK-432に対するDHをSu-M protein 100μg/mlをテスト抗原とし,MITで測定した結果,migration index (MI)は,感作後1週目で26%,2週目で46%,3週目で34%,4週目で23%であり,感作後2週目に最も強く,その後は急速に低下していた.
つぎに持続的なDHを誘導することを目的として,OK-432による感作の回数と間隔について検討した.その結果,感作の回数を2回とし,間隔を1週間とした場合には,感作後1週目でMI19%,2週目で25%,3週目で一2%と,1回単独感作よりもかえつて弱いDHが誘導された.一方感作回数を2回とし間隔を2週間とした場合には,感作後1週目で50%,2週目で36%,3週目で48%と,強く持続的なDHが誘導された.

キーワード
OK-432, Delayed Hypersensitivity, マクロファージ遊走阻止試験


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