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日外会誌. 85(10): 1344-1348, 1984


原著

潰瘍性大腸炎に対する continent ileostomy 施行後の病態生理
-特に回腸瘻の内圧と容量について-

東北大学 第1外科(主任:佐藤寿雄教授)

成井 英夫 , 亀山 仁一 , 佐々木 巌 , 土屋 誉 , 内藤 広郎

(昭和58年12月12日受付)

I.内容要旨
潰瘍性大腸炎に対するKock法によるcontinent ileostomyとend ileostomy施行後の遠隔調査を行い,排便機能,内圧,容量について検討した.Kock法3例,end ileostomy 5例を対象とした.回腸瘻の内圧測定はopen tip法にて行い,Kock法におけるreservoirの容量は透視下にバリウムを注腸し測定した.
排便回数はKock法で1日1~4回,end ileostomyでは1日4~10回であった.便の性状はKock法では全例泥状便であったが,end ileostomyでは一定の傾向を示さなかった.回腸瘻周囲のびらんはKock法では1例もみられなかったが,end ileostomyでは5例中4例に認められた.
Kock法ではnipple valveと一致するstomaより約3~6cmの部位に昇圧帯を認め,nipple valveの圧はreservoirの内圧より常に高値を示した.end ileostomyの内圧はstomaより10cmまで低圧であった.
Kock法ではreservoirの最大容量の約80%の充満で腹部膨満感が生じ,便意に関して自己調節が可能であった.end ileostomyでは注入量に比例して内圧は急激に上昇し,50mlの注入でstomaから排泄をみた.
すなわち, end ileostomyに比べKock法が良いとの成績が得られたので,潰瘍性大腸炎例に対する回腸瘻造設に際し,症例によつては積極的にKock法を施行しても良いと考えられた.

キーワード
潰瘍性大腸炎, continent ileostomy, 排便回数, 回腸瘻の内圧, 回腸瘻の容量


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