日外会誌. 85(8): 849-854, 1984
原著
Retrocaval ureterを合併した一腎性腎血管性高血圧症の一例
|
東京大学 第2外科 田中 潔 , 秋元 滋夫 , 上妻 達也 , 佐藤 紀 , 大島 哲 , 宮田 哲夫 , 高木 淳彦 , 多田 祐輔 , 丸山 雄二 , 和田 達雄 (昭和58年10月26日受付) |
われわれは，左腎無形成 (renal agenesis)，右retrocaval ureterを合併した29歳男性の右腎動脈狭窄からの腎血管性高血圧症を経験した．これに対して自家静脈によるaortorenal bypassと下大静脈切離・再吻合による尿管転位術とを同時に施行した．腎動脈狭窄は，fibromuscular dysplasiaによるものであった．術後，高血圧はやや軽快したものの治癒には至らず，特に拡張期血圧が高いままなのでnifedipineの服用を開始したところ，血圧はそれ以後130/80mmHg程度に良好にコントロールされるようになった．一腎性腎血管性高血圧症ならびにretroccaval ureterに対する外科治療上の問題点について文献的考察も加えて論じた．
キーワード
腎血管性高血圧, Renal Agenesis, Retrocaval Ureter.
PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。