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日外会誌. 85(6): 605-610, 1984


原著

蛋白漏出性胃腸症を伴ったEbstein病とWPW症候群の合併例の1治験

金沢大学 医学部第1外科学教室(主任:岩喬教授)

清原 薫 , 若狭 林一郎 , 松永 康弘 , 三崎 拓郎 , 岩 喬

(昭和58年8月18日受付)

I.内容要旨
Wolff-Parkinson-White (WPW) 症候群とEbstein病の合併例に対し,最初,副剌激伝導路切断術のみを行った所,術後,三尖弁逆流の増悪により蛋白漏出性胃腸症を発生したため,二次的に三尖弁置換術を施行し,WPW症候群とEbstein病をともに治癒し得た.
患者は17歳男性.昭和55年5月,WPW症候群に対し副刺激伝導路切断術をうけた.この時Ebstein病の合併が確認されたが軽症のため放置された.術後頻脈発作は全く消失したが,心拡大と浮腫のため10カ月後再入院した.著明な低蛋白血症を認め,右心カテーテル,131I-RISAテスト等の結果,Ebstein病の三尖弁逆流による続発性蛋白漏出性胃腸症と診断された.そこで三尖弁置換術を施行した所,血清総蛋白値は正常範囲に達し,術後諸検査でも胃腸管内蛋白淵出は消失している事が確認された.
Ebstein病を合併したWPW症候群の場合,副刺激伝導路切断術は真弁輪(true annulus)を切離,再縫合するもので,この手術で三尖弁逆流が増悪するとは考え難く,症状の増悪はEbstein病の自然経過によるものと思われる.

キーワード
蛋白漏出性胃腸症, Ebstein病, WPW症候群

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