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日外会誌. 85(6): 598-604, 1984


原著

食道顆粒細胞腫(granular cell tumor)の1治験例
-本邦及び欧米報告例の文献的考察-

いわき市立総合磐城共立病院 外科

池田 道昭 , 阿部 新平

(昭和58年8月22日受付)

I.内容要旨
食道顆粒細胞腫の1手術治験例を報告する.症例は48歳の男で,嚥下困難と胸骨後部不快感を主訴として来院した.食道X線写真では,下部食道に腫瘤状の陰影欠損を認め,また,食道鏡検査では,門歯より35cmの食道後壁に隆起性病変を認めた.食道癌の疑いで,昭和55年3月21日に食道切除・胸骨後食道胃吻合術を行った.切除標本の検索では,食道の胃接合部近くに,2.5cm×2.5cm大の粘膜下腫瘍が認められた.また,組織学的検索では,腫瘍細胞内に好酸性顆粒が多数みられ,食道顆粒細胞腫と診断された.
自験例を含めた本邦及び欧米報告の食道顆粒細胞腫69症例についてみると,本腫瘍は40歳台に好発し,下部食道に多く,大きさは,数mm~くるみ大で,一般に良性である.臨床症状は,嚥下困難,胸骨後部不快感などであるが,無症状のことも多い.治療法としては核出手術が行われているが,本症の中には悪性化の報告もあるので注意が肝要である.本症は神経原性腫瘍と考えられている.

キーワード
食道顆粒細胞腫, pseudoepitheliomatous hyperplasia

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