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書誌情報]
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日外会誌. 85(4): 363-369, 1984
原著
膵頭部癌に対する膵切除範囲についての臨床病理学的検討
I.内容要旨1982年12月までに大阪府立成人病センター外科で経験した膵頭部癌53例(切除41例,剖検12例)の組織材料を光顕的に観察し,膵癌の進展様式を膵内と膵外とに分けて検索した.また切除例では予後や再発形式を詳細に検索して,膵頭部癌に対して根治手術を行なうための適切な膵切除範囲について検討した.
その結果,膵内病変(膵管内連続進展,異型,重複癌巣の合併,リンパ管侵襲)からみた場合,膵全摘の適応となるものは膵尾にまで膵管内連続進展が到達している場合だけで,肉眼的腫瘍辺縁から2cm以上尾側で膵を切離し,断端の迅速組織・細胞診が共に陰性であれば,残膵における癌遺残の可能性は極めて少ないものと考えられた.
膵外病変(膵後方浸潤,リンパ節転移)からみた場合,すでに癌が膵管以外の膵組織を直接膵体~尾部にまで進展しているものに対して全摘を行なう価値は極めて少ないと思われた.しかし一群リンパ節にしか転移を認めないものや,後方浸潤の著明でないものに対しては,予防的な意味で大動脈,上腸間膜,腹腔動脈根部に沿うリンパ組織や結合組織を完全に郭清することが最も重要であると考えられた.その為には膵全摘を行なわなくとも,膵体~尾部まで広汎に膵切除を行えば十分な郭清が可能であると考えられた.
キーワード
膵頭部癌, 膵癌の膵管内連続進展, 膵癌のリンパ節転移, 膵後方浸潤, 膵切除術
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