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日外会誌. 85(3): 238-243, 1984


原著

胃粘膜防御因子からみた各種胃疾患の病態生理
-特に手術および閉塞性黄疸の影響について-

東北大学 第1外科(主任:佐藤寿雄教授)

宮川 英喜 , 亀山 仁一 , 佐々木 巌 , 今野 喜郎

(昭和58年5月4日受付)

I.内容要旨
胃粘膜の防御因子は攻撃因子である胃酸と同様に種々の胃疾患の発生に大きく関与しているがその詳細は不明である.そこで防御因子の指標としてtransmucosal potential difference(以下PD)を用いて各種胃疾患を検討し,さらに攻撃因子である胃酸分泌との関係について検討した.また手術侵襲や閉塞性黄疸の攻撃一防御両因子におよぼす影響についても検討し以下の成績を得た.
1) PDは胃粘膜病変を有する胃潰瘍,急性潰瘍,胃潰瘍出血例で低値を示す傾向を認め,特に出血を認める後2者で著明な低値を示した.
2) PDは胃酸分泌により上昇する領向を認めたが有意差はなかった.
3) 手術侵襲は術後早期に一過性の胃内pH上昇および防御因子障害をきたすものと考えられ,閉塞性黄疸ではさらにその傾向が著しいものと思われた.

キーワード
胃粘膜防御因子, potential difference (PD), 急性潰瘍, 閉塞性黄疸

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