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日外会誌. 85(3): 225-230, 1984


原著

食道癌手術前後におけるガストリン,セクレチン分泌動態に関する研究

近畿大学 第2外科

須藤 峻章 , 白羽 誠 , 梅村 博也 , 河村 正生 , 石山 堅司 , 竹本 雅彦 , 菖蒲 隆治 , 奥村 三郎 , 久山 健

(昭和58年5月13日受付)

I.内容要旨
食道癌患者,術前8名,術後1カ月8名,術後3カ月以上6名にトレランG150mlを経口負荷し,血清ガストリンを検索するとともに,術前,術後1カ月に0.1規定塩酸を経口負荷し,血清セクレチン分泌動態を検索した.さらに内視鏡的に術後胸腔内胃の幽門前庭部の生検を行い,酵素抗体法(PAP)にてガストリン分泌細胞を検索し,血清ガストリンとの相関関係について検討を加え,以下の知見を得た.
1) 術後1カ月では高ガストリン血症を来たしたが術後3カ月以上では,血清ガストリン値は,正常範囲近くに低下した.
2) 血清セクレチン値は,術後低下する傾向を認めたが,統計学的有意差を認めなかった.
3) 酵素抗体法によるガストリン分泌細胞の検索では,高ガストリン血症を来すもので幽門前庭部に萎縮,腸上皮化生の見られないものでは,ガストリン分泌細胞の過形成がみられたが,幽門前庭部に萎縮,腸上皮化生を来し,ガストリン分泌細胞が減少しているにもかかわらず,高ガストリン血症を来す症例も認めた.これらの症例では,肝機能,腎機能が正常であった事より,おそらくガストリンは十二指腸から分泌されているものと考えている.

キーワード
食道癌, ガストリン, セクレチン, 酵素抗体法, ガストリン分泌細胞


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