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日外会誌. 85(2): 132-142, 1984


原著

胃癌患者の胃癌組織,健常胃,と各組織におけるリンパ球SubpopulationとNK活性に関する研究

岡山大学 第一外科学教室(主任:折田薫三教授)

森谷 行利

(昭和58年4月19日受付)

I.内容要旨
担癌生体各組織のNatural Killingを担当するNK細胞あるいはNatural cytotoxic activityを有するNC細胞の分布を検討することは腫瘍防衛機構に果たすNK細胞の意義を明らかにする方法の1つと考え,胃癌患者において,胃癌組織,健常胃を初めとして,所属リンパ節,脾臓,門脈血,末梢血等のリンパ球様細胞のSubpopulationとNK,ADCC活性を検討した.T cell,Tγ cellはEロゼット法,ダブルロゼット法でNK,ADCC活性には標的細胞としてMKN-28(胃癌由来株) P-4788,M-HeLa株,CRBC等を用い51Cr release assayにて行った.胃癌組織,健常胃リンパ球様細胞はmechanical isolationで分離採取した.T cell百分率は末梢血,胃癌組織,門脈血,健常胃,脾,リンパ節の順に,Tγ cellは門脈血,末梢血,胃癌組織,脾,健常胃,リンパ節の順にそれぞれ多くみられた.胃癌組織は健常胃に比して細胞収量,T cell,Tγ cellの増加がみられた.癌患者のNK活性は末梢血では健常者に比し有意の低下を示し,同一患者各組織で比較すると末梢血,門脈血,脾,健常胃,胃癌組織,リンパ節の順に活性がみられた.インターフェロンβのin vitro処理で胃癌組織,リンパ節のNK活性増強効果はみられなかつたことによりこれら組織でのNK細胞,pre-NK細胞の量的分布が末梢血,脾に比して極めて少ないと考えられるが,内視鏡下N-CWS注入後の胃癌組織,リンパ節リンパ球の胃癌由来細胞株に対するcytotoxicityの増強がみられた.

キーワード
胃癌, NK活性, 胃癌浸潤細胞, Nocardia rubra cell-wall skeleton, Interferon-β


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