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日外会誌. 84(10): 1101-1106, 1983


原著

穿孔をきたした小腸Crohn病の1例

根本病院 京都市

内田 道男 , 岩佐 裕 , 根本 浩介

(昭和57年10月7日受付)

I.内容要旨
Crohn病の合併症として,穿孔は稀であり,われわれは高齢者の穿孔をきたした小腸Crohn病の1例を経験したので報告する.
92歳,女性,生来健康であり,唯数年以来便秘を訴えていた.突然,腹痛を訴え来院した.急性汎発性腹膜炎の診断にて,開腹術を施行した.腹腔内に多量の膿性の浸出液があり,回腸末端近くよりロ側約40cmの範囲は肥厚し,柔軟性を欠き,浮腫状であつた.回腸末端より口側約20cmの部の腸間膜附着側に2カ所の穿孔を認めた.病変部を含め,回腸60cm, 回盲部並びに上行結腸5cmを切除し,回腸上行結腸端々吻合術を施行し,腹腔ドレナージを行つた.
切除標木では,回腸壁は肥厚し,浮腫状で,かたく,腸管内腔は狭小となり,粘膜は固有の襞を失い縦走する多数の皺と数個の縦走潰瘍及び平坦な瘢痕が非連続的に認められ, 2カ所の穿孔がみられた.
病理組織学的に,回腸壁は肥厚し,粘膜には潰瘍が認められ,穿孔する部位もみられ,粘膜下層には線維芽細胞, リンパ球,形質球を含む非乾酪性の炎症性の肉芽腫が認められた.
以上の肉眼的並びに病理組織学的所見より穿孔をきたした回腸Crohn病と診断された.
術後経過良好であつたが,肺炎のため術後10日目に突然死亡した.

キーワード
小腸Crohn病, 小腸穿孔

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