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日外会誌. 84(8): 703-711, 1983


原著

Endotoxin shockにおける膵 lysosomeの超微形態学的研究
-特に電顕組織化学を用いて-

日本医科大学 第1外科(主任:代田明郎教授)

細井 通則

(昭和57年12月8日受付)

I.内容要旨
ラットの腹腔内にLD50のEndotoxin (ET) を投与して実験的にEndotoxin shockを作製,その後経時的に屠殺しその膵小片を採取,その組織学的変化を光学および電子顕微鏡的に検索するとともに,Acid phosphatase (ACP) を指標として膵lysosomeの変化について検索し,次の成績を得た.
1.光顕的観察では, ET投与2時間後でLangerhans島における赤血球のうつ滞,島構成細胞の軽度の空胞化とともに,血管内皮細胞の空胞化, perivascular edema,subendothelial edemaが出現,時間の経過とともに上述所見の増強がみられたが,腺房細胞では明らかな変化は認められなかった.
2.電顕的観察では, ET投与1時間後よりLangerhans島B細胞においてmitochondriaの軽度の腫大, cristaeの部分的消失,粗面小胞体の腫大・解離および分泌顆粒の腫大が認められ, また血管内皮細胞内小空胞の出現, perivascular edema,subendothelial edemaが見られた.腺房細胞ではほぼ正常に近い形態を示す細胞と,粗面小胞体の不鮮明化, mitochondriaの腫大などの細胞内小器官の障害を示す細胞とが認められ, これら所見はteleinsular aciniよりは, periinsular aciniに多く認められる傾向を示した.上述の所見は時間の経過とともに増強され, 4時間後ではB細胞,腺房細胞内にautophagic vacuoleが出現した.
3.電顕組織化学的観察では,正常時膵におけるprimary lysosomeは腺房細胞に比較して,Langerhans島B細胞内にやや小型のものが多く認められた.ET投与30分後より, B細胞内ACPase活性はlysosomeの内部に一致して増強するとともに,同心円状の微細顆粒として認められた.1時間後では,その活性は細胞内微細顆粒として認められるとともに,細胞間隙,血管周囲にまで達する所見が認められた.

キーワード
Endotoxin shock, Lysosome, Histocytochemistry, Acid phosphatase, Langerhans島

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