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日外会誌. 84(8): 679-691, 1983


原著

胃癌患者の非特異的細胞性免疫能に関する臨床的研究
-とくに所属リンパ節の免疫応答能と術前免疫療法について—

群馬大学 医学部第2外科教室(主任:泉雄 勝教授)

竹下 正昭

(昭和58年1月24日受付)

I.内容要旨
開腹手術を受けた胃癌患者192症例の細胞性免疫能を測定した.うち72症例と良性疾患15症例の所属リンパ節免疫能についても測定した.そして胃癌の進行度との関係,細胞性免疫能と所属リンパ節免疫能との相関性,さらに術前免疫療法による影響などについて検討を加えた.細胞性免疫能は皮内反応 (PHA,SK -SD,Candida,PPD),末梢血リンパ球数,T-cell subpopulation (Active,Total T-cell) そして幼若化反応 (PHA,PWM,自家血清添加PHA) で所属リンパ節免疫能は近位と遠位に分けてT-cell subpopulation比率と幼若化反応について測定し次の結果を得た.
1.非特異的免疫パラメーターでは,PHA皮内反応,Active T-cell数,自家血清添加PHA幼若化反応が胃癌の進行度をよく反映している. またCandida,PPD皮内反応やPHA幼若化反応もstageの進行に従つて低下を示した.
2.所属リンパ節の免疫能は近位リンパ節ActiveとTotal T-cell %,PHA幼若化反応そして自家血清添加PHA幼若化反応がstageの進行に伴い低下を示した.
3.非特異的免疫パラメータと所属リンパ節免疫能との相関性は, PHAとCandida皮内反応,Active T-cell数そしてPHA幼若化反応と近位リンパ節PHA幼若化反応との間に相関々係が得られた.
4.stage IIIでリンパ節転移数4個以上の場合やstageIVでは遠位リンパ節免疫能の低下が認められた.
5.術前PSK投与により術後の免疫能低下を防止することができた.
6.術前Lentinan投与により近位リンパ節免疫能の低下を抑えることができた.

キーワード
細胞性免疫能, 所属リンパ節免疫能, 術前免疫療法

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