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日外会誌. 84(8): 674-678, 1983


原著

心大血管内異物の非手術的摘出方法について

名古屋大学 第1外科

田中 稔 , 弥政 洋太郎 , 阿部 稔雄 , 村瀬 允也 , 川村 光生 , 野垣 英逸 , 竹内 栄二 , 柿原 理一郎 , 日比 道昭 , 末永 義人 , 矢野 洋 , 伊佐治 文朗 , 渡辺 孝 , 三枝 裕幸 , 伊東 國雄 , 佐藤 浩

(昭和57年12月27日受付)

I.内容要旨
補液を目的として静脈内に留置したカテーテルが断裂して心大血管内異物となり,内視鏡用の2脚型あるいは3脚型把持鉗子を用いて,透視下で経血管的にこれ等の異物を摘出することのできた4症例を報告した.今迄にも心大血管内異物摘出のための道具としては,手作りで色々工夫されたもの,ループ型・バスケット型カテーテル,生検用鉗子や気管支鏡用の把持鉗子等が使用されているが,異物となつたカテーテル片の存在部位や両端の状態により,捕捉に難渋する場合がある.ここに紹介した鉗子は内視鏡用のものであり,血管内での使用を本来の目的としていないため,心大血管内での使用には十分注意が必要である.しかし,一般の心臓カテーテル検査に習熟している医師であれば,危険性もなく極めて簡便に操作し得るものと考える.また, この鉗子は,血管切開を行わないでも心大血管内への挿入が可能であり,幼小児例にも使用が可能であつた.

キーワード
心大血管内異物, 非手術的異物摘出, 把持鉗子


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