[書誌情報] [全文PDF] (1338KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 84(5): 404-417, 1983


原著

食道再建用胃管の血流量に関する実験的研究

九州大学 医学部第2外科学教室(主任:井口潔教授)

池田 正仁

(昭和57年9月10日受付)

I.内容要旨
食道再建に用いる各種の大きさの胃管を,イヌで実験的に作り,血流量からみた各種胃管の優劣を論じた.すなわち,組織血流量および流入動脈血流量をそれぞれ,水素ガスクリアランス式組織血流計および電磁血流計を用いて測定するとともに,マイクロフィルによる胃管の微小血管構築を観察した.
その結果,幅を異にする4種胃管(全胃,幅6cm,幅3cmおよび幅1.5cmの胃管)の中では幅3cmの胃管の血流が有意に良好であつた.
さらに,実際に胃管の吻合実験を行い吻合に安全な胃管血流量の限界を明らかにするとともに,胃管の血流量を改善するための方法を検討した.
すなわち,吻合部の力学的強度および組織学的検索から,吻合に安全な胃管の血流量は40ml/min/100g以上と判明した.
また, ドーパミン, 7および15μg/kg/minの投与は体循環に影響を及ぼすことなく,胃管組織血流量をそれぞれ36.9%,57.3%増加させた.
張力は吻合部付近の血流量には,あまり影響を与えなかつたが,温度の低下はある程度の影響を与えた.

キーワード
食道再建用胃管, 組織血流量


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。