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日外会誌. 84(5): 379-386, 1983


原著

Ionescu-Shiley bovine pericardial xenograftによる弁置換術170例の手術経験

国立循環器病センター 心臓血管外科
*) 国立循環器病センター 内科

藤井 尚文 , 藤田 毅 , 川副 浩平 , 江郷 洋一 , 小坂井 嘉夫 , 小原 邦義 , 鬼頭 義次 , 曲直部 寿夫 , 中島 克彦*)

(昭和57年9月7日受付)

I.内容要旨
Ionescu-Shiley bovine pericardial xenograft(以下ISPX)は,優秀な弁機能特性と抗血栓性が認められ,臨床に多く用いられるようになつてきた.我々はin-vitroの実験でISPXの優秀な弁機能特性を報告してきたが, 1979年8月よりISPXの臨床応用を開始し, 170症例に対し189個の移植を行なつた.今回, ISPXの生体内での血行力学的特性と,その臨床成績について知見を述べる.
死亡率は手術死・遠隔死を合わせ14.1%であつた.人工弁前後の圧較差,弁口面積を, Hancock xenograftと比較すると,ISPXは良好な弁機能特性を示した.また,ISPXによる弁置換術後の心機能は明らかな改善を示した.血栓塞栓症および弁損傷は1例もないが,人工弁感染(以下PVE)を4例に認め,うち2例が死亡した.しかし, PVEの発生率は他の人工弁に比較して高率ではなかつた.
今回の研究で, ISPXの抗血栓性および弁機能の優秀性は確認されたが,耐久性およびPVEに対する危惧は残されており,慎重な術後管理の下で今後もISPXの臨床応用を続けてゆく考えである.

キーワード
Ionescu-Shiley bovine pericardial xenograft, 弁置換術

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