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日外会誌. 84(5): 369-378, 1983


原著

小児高カロリー輸液における必須脂酸投与に関する研究
第II編 臨床的研究

千葉大学 医学部第一外科学教室

田代 亜彦 , 真島 吉也 , 奥井 勝二

(昭和57年8月17日受付)

I.内容要旨
近年,高カロリー輸液total parenteral nutrition (TPN) は,小児外科患者の管理上不可欠の治療手段となつたが,輸液組成中に脂肪成分を欠くために惹起される必須脂酸欠乏状態が指摘されている.経口栄養における必須脂酸欠乏状態は古くから観察され,また必須脂酸投与量についても小児を中心に詳細に検討されているが, TPNにおける本欠乏状態については充分に解明されているとはいえない.著者は,先に行なつた動物実験に基づき,小児外科臨床例について小児TPNにおける必須脂酸投与のための脂肪乳剤投与量の決定を試みた.
小児外科症例で絶食下にTPN を施行した13例に脂肪乳剤投与量•投与法を変えたTPN を施行したところ,無脂肪TPN1週で必須脂酸欠乏状態が出現し,これは総投与カロリーの4%の脂肪乳剤投与1~2週間で正常化するが, 2%投与では効果がなく,はじめから2%投与しても必須脂酸欠乏状態の出現を予防出来なかつた.
以上より,新生児・乳幼児TPNにおける必須脂酸投与量は,脂肪乳剤で総投与カロリーの4%程度(リノール酸で2%)が必要であると結論した.

キーワード
小児高カロリー輸液(TPN), 必須脂酸欠乏, 脂肪乳剤, 脂酸構成


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