[書誌情報] [全文PDF] (2259KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 84(4): 349-354, 1983


原著

Buerger病に対する治療成績
-特に遠隔成績を中心に-

山口大学 第1外科

江里 健輔 , 大原 正己 , 中野 秀麿 , 野村 真一 , 倉田 悟 , 毛利 平

(昭和57年8月9日受付)

I.内容要旨
Buerger病は原因が不明で, multiple occlusionとして発症し, run-offが不良であることが多いため,血行再建の適応となる症例は必ずしも多くない.昭和41年より昭和56年12月までに経験した本症の60例を手術群50例,薬物療法を行つた非手術群10例に分け,退院時治療成績を検討した.更に,治療により軽快退院した手術群29例,非手術群7例の遠隔成績を併せ検討した.退院時治療成績は手術群50例では軽快41例(82%),不変3例(6%),悪化6例(6%)で悪化の6例はいずれも肢,趾(指)切断であつた.一方,非手術群10例では軽快8例(80%),不変2例(20%)であつた.
退院時軽快症例の遠隔成績は手術群29例で軽快17例(58%),不変12例(42%)であつたのに対し,非手術群5例ではいずれも軽快であつた.遠隔時に不変に移行した症例は膝裔動脈より末梢側病変に多く,且つ腰部または胸部交感神経節切除例であつた.このことより,交感神経節切除術の効果には限界があることが示唆された.血行再建症例では術後早期に代用血管の開存が得られれば,遠隔期でも開存した.

キーワード
Buerger病, 腰部交感神経節切除, 血行再建術, 遠隔成績

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。