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日外会誌. 84(4): 295-300, 1983


原著

OK-432(Picibanil)腫瘍内大量投与の循環動態に及ぼす影響

山口大学 第1外科

森田 耕一郎 , 村田 武穂 , 丸本 多 , 壺井 英敏 , 中原 泰生 , 小田 達郎 , 毛利 平

(昭和57年9月1日受付)

I.内容要旨
OK-432腫揚内大量投与法は,直接的抗腫瘍作用と宿主介在効果の2作用を併せもつた治療法である.しかしながら,この投与法の副作用としてShockの発現が指摘され,全身麻酔下での投与がすすめられている.
我々はOK-432腫瘍内大量投与が循環動態に与える影響及び麻酔の副作用抑止効果の有無を知る目的で雑種成犬を用いて実験を行ない, これと全身麻酔下OK-432腫瘍内大量投与臨床例における循環動態の変化を比較検討した.
動物実験では, OK-43250KE臀筋内注入において,麻酔,無麻酔いずれの条件においても, 平均動脈圧,左室収縮期圧,心拍出量は低下傾向を示した.しかし, OK-432投与による循環動態の変化は僅かで,循環動態が安定し,循環血液量の正常な個体では, Shockの発現はありえないと考えられた.
OK-432再感作実験においても,循環動態の変化は認められなかつた.
臨床例においても, OK-432大量投与は全身麻酔を必ず必要と考えるより,むしろ,循環不全を補正し,循環血液量を正常化することが,よりShock発現防止に重要であることが考えられた.

キーワード
OK-432腫瘍内大量投与, 循環動態, Shock

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