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日外会誌. 84(3): 245-255, 1983


原著

膵大量切除後糖尿病ラットにおける同種同系膵ラ島移植の効果
-長期観察時の膵内分泌機能-

東北大学 第一外科(主任佐藤寿雄教授)

千葉 純治 , 山内 英生 , 宮川 菊雄 , 柿崎 健二

(昭和57年7月28日受付)

I.内容要旨
ウィスター系雄ラット(outbred群およびinbred群)において, 90%以上の膵大量切除を行ない,再現性のあるSandmeyer型糖尿病モデルを作成し得た.この糖尿病モデルに対して1500個の単離ラ島を門脈内に移植したoutbred群10匹では6匹が早期に血糖値250mg/dl以上を示したが,他の4匹は移植後4カ月まで正常血糖を維持した.一方,免疫反応を引き起さないとされるinbred群での移植群5匹では500~600個の門脈内移植により全例, 1週以内に糖尿病から回復し,移植後22週目まで正常血糖を維持したが, 26週目の屠殺時には200mg/dl以上の血糖値を示した.
対照膵組織の連続切片および定量形態法による解析の結果,対照膵では膵ラ島の分布型は, WeibullおよびGamma分布によく適合した. Weibull分布に適合させた場合, ラ島の半径は0.0157mmラ島個数は129.1/mm3で全膵組織中約8万個のラ島の存在が推定された. また,体尾部 (splenic and gastric segment) および頭部 (parabiliary and duodenal segment) でのラ島密度はそれぞれ1.45%および0.98%であった. これに対し単離ラ島の実体顕微鏡下の半径は平均0.080mmであり,従つて500個のinbred群の移植群ではparabiliary segment内の残存ラ島を加えても個数の比率は約6%にすぎないが,単離ラ島は大きいものが多いために,全体として17%のラ島容積が存在することが推定された.

キーワード
膵大量切除, 同種同系膵ラ島移植, 定量形態

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