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日外会誌. 84(1): 1-7, 1983


原著

GvH反応に及ぼす手術侵襲の影響手術侵襲によつて出現するGvH反応抑制活性の経日変動とその性質について

岡山大学 医学部第1外科教室

小島 啓明 , 藤原 良一 , 矢田 義比古 , 田頭 良章 , 田中 紀章 , 万波 徹也 , 小長 英二 , 三村 久 , 折田 薫三

(昭和57年2月25日受付)

I.内容要旨
外科的手術によつて免疫反応が低下することは古くから知られている.本研究ではマウスのGraftversus-host (GvH)反応ならびにGvH反応抑制反応を用いて,手術侵襲における免疫反応とそれを抑制する細胞の活性を検討した.
1)皮膚切開後1日目にBALB/c脾細胞を用いてGvH反応を惹起したところ,そのGvH反応は抑制されたが,術後3日目以降にGvH反応を惹起しても,抑制されなかった.2)片足切断ならびに皮膚切開によつて,CBF1マウスの胸腺重量は術後1日目に著しく減少したが,皮膚切開では3日目,片足切断では5日目にほとんど回復していた. しかし, GvH反応抑制活性は,片足切断群では術後早期の, まだ胸腺重量の減少が認められない時期にもすでに著明な活性が認められ, その活性の消失は胸腺重量の回復とパラレルであった.3)片足切断によつて胸腺重量が減少しない術後3時間目におけるGvH反応抑制活性は,抗Thy1. 2.抗体と補体処理により完全に消失した. また術後1日目の胸腺重量が著明に減少している時期におけるGvH反応抑制活性も, プラスチックシャーレ非付着性分画に存在し,抗Thy1. 2.抗体と補体処理により完全に消失した.
以上の結果により,手術侵襲によるGvH反応の抑制は,正常マウスにも存在するGvH反応抑制活性を有するTリンパ球の活性が増強されたためと示唆される.

キーワード
手術侵襲, Graft-versus-host reaction (GvH) reaction, suppressor cell


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