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日外会誌. 83(11): 1307-1320, 1982


原著

閉塞性黄疸における減黄効果判定指標での胆汁中ICG濃度測定について

長崎大学 医学部第2外科教室(主任:士屋凉一教授)

岡 進

(昭和57年5月4日受付)

I.内容要旨
閉塞性黄疸における減黄術後の肝障害回復の判定指標として,胆汁中へのICG色素排泄状態を経時的に測定しICG Bmax値として算出した.ICG Bmax (Bile ICG Peak concentration and time)
=loge {loge10x最高濃度) 最高に至る時間}
閉塞性黄疸のない対照群16例では胆汁中ICG最高濃度平均20.1±8.2mg/dl,時間1.9±0.4時間で,ICG Bmax値はすべて0.5以上であり,平均値は1.06±0.27(S.D.)であつた.
減黄術直後ICG Bmax値が-0.5以上の症例はほとんど予後良好であつたが,減黄後もICG Bmax値の上昇を認めない症例は二期手術後に死亡した症例であつた.
減黄術後の二期手術時期はICG Bmax値がプラスになつた時期に行なうと予後良好であつた.ICG Bmax値改善遅延あるいは悪化症例は黄疸期間が長いか,胆管炎を合併した症例であつた.
ICG Bmax値が-0.5以下では手術は禁忌で,逆にプラス症例は手術が可能であると考えられた.ICG Bmax値が-0.5から0の間にある時はICG Bmax値の改善傾向を示した場合のみ手術可能であると思われた.
したがつてICG Bmax値は閉塞性黄疸減黄術後の肝障害回復の程度を良く表現するものである.

キーワード
閉塞性黄疸, ICG, 減黄効果判定, 黄疸遷延, ICG Bmax


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