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日外会誌. 83(10): 1252-1256, 1982


原著

胆石による輸入脚閉塞症の1治験例

明石市立市民病院 外科

鈴木 茂敏 , 黒岩 延男 , 鳥山 紀彦 , 松本 学 , 栗原 睦郎

(昭和57年3月23日受付)

I.内容要旨
我々は,最近,胆石が輸入脚に嵌頓し,そのために発生した輸入脚閉塞症を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
症例は,59歳,女性.14年前,胃潰瘍で, Billroth II法による胃切除術・結腸前胃空腸吻合術(Braun吻合なし.)をうけた.初診時,右季肋部に,鶏卵大・硬い・表面不整・可動性のある腫瘤を触知した.外来にて,経過観察していたが,5カ月後,左上腹部から下腹部にかけて激痛があり,また無胆汁性嘔吐も出現した.急性汎発性腹膜炎の診断にて,開腹した.Treitz靱帯より5cm肛側の輸入脚に,鶏卵大の結石が,嵌頓していた.十二指腸第3部には穿孔部を認めた.胆嚢と総胆管は拡張していた.穿孔部を縫合閉鎖,腸切開し結石を摘出,縫合部の減圧のために腸瘻造設,胆嚢摘除術,総胆管ドレナージ,腹腔ドレナージを施行した.摘出した結石は,大きさ4.1×4.0×3.8cmで, ビリルビン石灰石であつた.
我々は,輸入脚閉塞症本邦報告121例を集計したが,本症の原因は,内ヘルニア55.4%,癒着12.4%,屈曲・捻転9.1%,絞扼4.9%,不明18.2%であつた.胆石によるものはなかつた.

キーワード
輸入脚閉塞症, 胆石イレウス

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