[書誌情報] [全文PDF] (3950KB) [会員限定・要二段階認証][検索結果へ戻る]

日外会誌. 83(7): 649-657, 1982


原著

各種迷切後の胃幽門洞粘膜内ガストリン細胞とソマトスタチン細胞の動態に関する実験的研究

京都府立医科大学 第1外科学教室(指導:間島 進教授)

野見山 世司

(昭和57年3月17日受付)

I.内容要旨
各種迷切術(S.P.V.・S.V.・T.V.)後の長期経過後の胃幽門洵G-cellとD-cellの動態について,9頭の犬で検討した.迷切前・術後3ヵ月・術後1年目に胃前庭部前壁よりantral mucosal stripを採取し,酵素抗体関接法にて,G-cellとD-cell数をカウントした.両細胞は共に幽門洞では幽門腺腺窩近旁のmid zoneに存在し,術前のG-cellとD-cellの平均は398±10,191±14個/cmとG-cellの方がD-cellより多く認められた.S.P.V.・S.V.・T.V術後3ヵ月のG-cell数の平均は699±74個/cm・700±15個/cm・685±65個/cmで,3術式とも有意のG-cell数の増加が認められた.術後1年では,S.V.・T.V.犬ではG-cell数の平均はそれぞれ,478±35個/cm・518±28個/cmと術後3ヵ月のG-cell数に比して有意に減少していたが,術前値に比べるとT.V.犬ではまだ有意の増加を示していた.しかし,S.V.犬では術前の平均値と差が認められなかつた.S.P.V.術後1年のG-cell数の平均値は721±43個/cmで術前値に比して有意に増加していた.
一方,D-cell数は術後3ヵ月目にはT.V.では168±16個/cm,S.V.では203±21個/cmと術前と有意の差は認められなかつた.しかし,S.P.V.犬の術後3ヵ月の平均値は術前に比して有意に減少していた.術後1年目のD-cell 数の平均値はそれぞれ,T.V.で439±27個/cm・S.V.で387±40個/cm,S.P.V.で406±27個/cmで術前および術後3ヵ月の値に比して,すべての迷切後に有意に数の増加が認められた.即ち,迷切後のG-cellとD-cellの変化のpatternには差が認められた.
術前に存在していたG-cellとD-cellの相関関係は,術後3ヵ月ではどの迷切でも認められなかつたが,術後1年目では両細胞の相関関係は術前同様存在していた.

キーワード
迷走神経切離術, G−細胞, D−細胞

このページのトップへ戻る


PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。