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日外会誌. 83(5): 446-456, 1982


原著

組織像からみた胃癌の進展形式について

東京医科歯科大学 第2外科学教室(主任:浅野献一教授)

仁瓶 善郎

(昭和56年9月24日受付)

I.内容要旨
胃癌の治療成績が向上した今日といえども,再発の問題は未だ臨床医に残された大きな課題である.そこで原発巣の組織像から再発形式を前以って知り,しかるべき予防策をたてる上での指標とすべく,胃癌の進展形式を組織型から分析した.
検索対象は,教室で経験した早期胃癌88例(97病巣),pm胃癌27例,原発巣非切除剖検例54例および原発巣切除後再発剖検例39例である.組織型は,高分化型,低分化型および一つの病巣内に両者の併存する混合型の3型に分類した.
(1)早期胃癌97病巣中27病巣(27.8%)pm胃癌27例中10例(37.0%)に混合型を認めた.
(2)粘膜下層以下への浸潤増殖像は,大部分は粘膜層の組織型と同ーであるが,一部では深部に行く程低分化型へ推移する.低分化型から高分化型へ推移するものはなかった.
(3)原発巣が高分化型では剖検時遠隔臓器転移率が高く,低分化型では腹膜播種率が高い.混合型では,ほぼ両者の中間の傾向を示した.
(4)原発巣切除後再発群において,局所再発巣および遠隔転移巣で低分化型へ推移するものがあり,その推移率は原発巣非切除群での原発巣と遠隔転移巣との間にみられた推移率よりも高い傾向を示した.
(5)肺転移は高分化型では肝転移を伴い肺実質内転移が多く,低分化型では肝転移を伴わず脈管内転移が多く認められた.混合型では両者の特徴を認めた.

キーワード
胃癌, 胃癌の進展形式, 胃癌進展に伴う組織型推移, 胃癌の遠隔臓器転移


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