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書誌情報]
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日外会誌. 82(11): 1354-1365, 1981
原著
腸音の記録分析法と臨床応用について
I.内容要旨腸音の記録, 分析が有用であることは言うまでもないが,今日まで,腸音の数値的診断基準を確立することは, 被検者の複雑な条件が混入するため不可能であった. そこで本研究では, NIHONKODEN TK211S microphone, SANEI VISIGRAPH 5L-36などを使用し,腸音専用の記録システムを構成した. さらに,腸音の誘導部位を第1誘導は幽門部,第II誘導は回盲部,第III誘導はS状結腸直腸移行部として定めた. この3極誘導の同時記録から,振幅の長さを三角法によつて比較することにより,腹壁上の病変部発音点を推定できるようになった.実際に行れた検査及び記録法は,単純腸音図記録法と,負荷腸音図記録法に大別される.単純腸音図記録法によつて解明された,手術前後における腸管運動の状態は,腸音頻度が術後24時間で術前の20%に低下,振幅は10~20%に低下しており,術後48時間で80%に回復した.腸管狭窄例では通常のContinuous spikeが認められ, colitisではspike頻度が約5倍に増加し, 0.4sec.のcontinuous spikeが多数みられた.食事前後では主成分が3~10mmの中間spikeに変位した.食事による負荷率をみると,食事後では1.5倍~ 2.0倍に増加した.また,腸管運動促進剤と発泡剤を被検者に与えて,腸管を能動的に運動させて記録する負荷腸音図試験法によつて,通常では発現しえない腸管の異常病変を容易に描出することができるようになつた.この試験法の結果,異常群ではコントロール時のspikeはχ: 0.5sec., ソルビトール負荷時でχ: 1.21sec.,panthethine負荷時で,χ: 1.61sec.,vagostigmine負荷時でχ:2.77sec.,であった.正常群におけるspikeの持続時間は全て1sec. 以下であった.さらに, SANEI 2G-51コンピューター,シグナルプロセッサー7 T-07にて,臨床的腸管運動量を計算すると,正常群では2.5以下,イレウス患者では4.5以上の高い変化率を示した.
キーワード
Intestinal sounds, コンピューター処理, 負荷腸音図, 腸閉塞, 術後腸管運動
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