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日外会誌. 82(8): 898-906, 1981


原著

胆道形成異常と再手術
-特に胆管結石の再発について

京都大学 医学部第1外科

松本 由朗 , 真下 六郎 , 上山 泰男 , 内田 耕太郎 , 小沢 和恵 , 戸部 隆吉

(昭和56年4月10日受付)

I.内容要旨
先天性総胆管拡張症(拡張症と略す)を,「総胆管より始まる胆道の限局性拡張を示す症例」と定義すれば,拡張が総肝管までにとどまる症例は球形の嚢胞を形成し, 小児期までの発症例が多い.一方,拡張が左右の肝管または肝内主要胆管におよぶ症例は円柱状または茸状の形態の拡張を示し,胆管原発結石の形成母地として重要な立場にあり成人での発症例が多く,その胆汁うつ滞機構は膵胆管合流異常に基づくと考えられる. 最近15年間に教室で扱かつた良性胆道疾患784例中拡張症は264例,非拡張症520例で,その再手術例はそれぞれ70例 (27%),16例 (3%) と両者間に大きな差が認められた.特に茸状または円柱状拡張を示す248例の拡張症のうち64例(26%)が結石の再発 (29例),遺残 (18例)および判定不能 (5例),そして膵炎 (6例),吻合部狭窄 (6例) によつて再手術を受けた.再発結石29例中15例は初回よりの自験例で,いずれも初回より截石術のみ,またはT-tube挿入が行なわれた症例のみで,付加手術の行なわれた症例には再発結石例は認められなかつた.結石再発に至る期間は最短6カ月, 最長19年で3~5年の期間で最も再発例が多い煩向がみられた.従つて,かかる形態の症例には付加手術の必要性が認められた.

キーワード
原発性胆管結石症, 先天性総胆管拡張症, 胆管結石再発, 膵胆管合流異常


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