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日外会誌. 82(6): 599-611, 1981


原著

胃癌原発巣とリンパ節転移巣の組織学的関連性に関する研究

鳥取大学 医学部第1外科学教室(主任:古賀成昌教授)

川口 廣樹

(昭和55年11月25日受付)

I.内容要旨
切除胃癌81例について,原発巣の全割切片による組織学的構築を試み,原発巣とリンパ節転移巣の組織学的関連性について検索した.両癌巣ともに組織型の多様性が認められたが, リンパ節転移巣にみられた組織型は原発巣中のいずれかの部位に必ず認められ,両癌巣の組織学的特徴は一致することが示された. また, リンパ節転移巣にみられた組織型は,原発巣中の粘膜層および粘膜下層に存在する組織型と高率に一致した. このことは,粘膜筋板直下に高率に認められたリンパ管侵襲と密接に関係し,さらに,正常胃では粘膜筋板直下にリンパ管が多く存在し,その径も大きいという解剖学的構造とも関係しているものと考えられた.どのような組織型が転移をおこしやすいかについて検討した結果,原発巣において優位に多く認められた組織型がリンパ節転移巣に多く見出されたことから,組織量の多い組織型の転移頻度が高いものと考えられた.組織型別では,分化型および低分化型腺癌が混在して認められる例では,分化型腺癌の転移率が高く,低分化型腺癌,その中でも硬性型低分化腺癌や印環細胞癌はリンパ節転移をおこしにくいのではないかと思われる結果を得た.

キーワード
胃癌, リンパ節転移, 組織型, リンパ管侵襲.


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