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日外会誌. 82(5): 456-460, 1981


原著

乳癌術後機能障害の検討

癌研究会付属病院 外科

内田 賢 , 深見 敦夫 , 久野 敬二郎

(昭和55年10月3日受付)

I.内容要旨
乳癌手術後の機能障害について外来受診患者を対象にしてアンケート調査を行なった.調査対象となつた患者は術後3カ月から25年におよぶ773例である. 患側上肢に浮腫がある患者35%, 上肢の運動制限がある患者12%,上肢の痛み・しびれ感のある患者12%,そして日常の仕事に不使を感じている患者17%という結果を得た.これらを分析すると次のようになる.
1) 年齢:手術時40歳以下の患者では上肢の動きが良いが,高年齢になるほど制限されるので,高年齢ほどリハビリテーションを十分に行なうべきである.
2) 手術々式: 術式が大きくなるほど浮腫の発生・運動制限が増えるので,根治性を満足させる範囲内で縮小手術を行なうべきである.
3) 病期:進行症例ほど浮腫の発生・運動制限が増えた.
4) 術後放射線照射:照射例ほど浮腫の発生が増えたが,運動制限とは相関しなかつた.
5) 肥満:肥満患者ほど浮腫の発生・運動制限が増えた.
6) 術後合併症:リンパ貯留.marginal necrosisなどの合併症と浮腫の発生・運動制限については相関がみられなかつた.
1)~5)の要因の多い患者ほど手術に細心の注意をはらい,術後管理を十分に行なうことにより浮腫の発生・運動制限の予防につとめるべきであると考えられた.

キーワード
乳癌術後, 上腕浮腫, 上肢運動制限


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